日光杉並木の保護活動

      2016/01/20

日光杉並木の保護用地公有化事業

日光杉並木街道に生育するのスギの根は、環境の良いところでは樹高と同程度の範囲まで張っていると言われています。日光杉並木のスギの樹高はだいたい30~40mですが、様々に利用されている周辺の状況を考慮して、日光杉並木の両外側のおよそ20mの範囲を日光杉並木の恒久的な保全のために必要な土地として取得を進めています。栃木県では、「杉並木保護用地公有化事業」に取り組み、昭和50年の事業実施から現在(平成21年度末)までに約26ヘクタールを公有化しています。

日光杉並木の樹勢回復事業

日光杉並木の中には、生育環境の悪化により樹勢が弱ってしまったスギが数多くあります。これらの杉を放置すると、枯れてしまうなどで日光杉並木街道の景観が失われてしまう恐れがあります。そのため、平成8年度から日光杉並木に生育するスギの樹根の土砂流出を防止し、生育に必要な空気の流通を確保し、土壌を保護するための木柵を設置を進めています。杉の根が露出している部分を土で覆う工事や、幹等が腐朽している杉の防菌、防腐処理も実施されています。その結果、新たな細根が生えるなどの樹勢回復の効果が確認されました。

日光杉並木街道のバイパスの整備

日光杉並木は観光や地元の方々の生活に欠くことのできない幹線道路で、大変多くの車両が杉並木街道を通過しています。このため、排気ガスや振動が年々増大し続け、日光杉並木に生育するスギの健全な育成に重大な影響を与えるようになりました。栃木県では、日光杉並木を守るには、この通過車両を減少させることが何より必要と考え、バイパスの整備を進めています。

日光杉並木オーナー制度

日光杉並木街道の保護事業を実施する財源にあてるため、栃木県は1996年秋から「日光杉並木オーナー制度」を開始しました。これは、日光杉並木保護の賛同者する個人や法人が、スギを1本1000万円で購入し、この購入代金を日光杉並木街道保護基金が積立て、 運用益を日光杉並木保護財団へ交付し、保護事業を実施するという制度です。オーナー杉1本当たりの年間運用益は約3万円で、保護事業の年間事業費は約4000万円です。そのうち半額は国の補助金で、他にも寄付金などが含まれます。オーナー杉は日光杉並木保護財団と東照宮が管理しています。日光杉並木に生育するスギは文化財であるため、枯死した場合などを除いて伐採はできません。解約する場合は栃木県が購入費用と同じ1000万円で買い戻します。2009年3月の時点で509本のスギに396名のオーナーがいます。

杉の並木守

杉の並木守は、日光杉並木の環境保全と保護運動のPRを行うボランティアです。県が実施する「学術的観点からの杉並木保護」や「街道周辺の気象や地層などの自然状況」などの講義や、現地実習を通して養成します。毎年約30人、5年で5グループ150人程度を育て、日光杉並木街道を5グループで分担して活動します。活動内容は、草刈りや清掃といった環境保全から、日光杉並木のパトロール、地域で行われるイベントなどでの日光杉並木に関する解説まで多岐に渡っています。

 - 日光杉並木の保護